ペルー・リマ

  


サン・フランシスコ教会
ゴチャゴチャの人で広場が埋め尽くされていたイメージだったのに、あまり人が写っていないですね。

 

 
南米に行った理由みたいなもの

  私の学生時代を代表する作家は五木寛之さん。『青年は荒野をめざす』の主人公はナホトカからシベリア鉄道でモスクワ経由でヨーロッパの放浪に明け暮れます。トランペットという武器で窮地をくぐって行くのです。そんな話にあこがれ「若者は放浪をしなければいけないもの」みたいな観念のようなものがずっと頭のどこかにありました。
 大学の同級生にも同じような人間が数人おり、なんとも勇敢なことにO君はインド、K君はペルーへ旅立っていました。我々世代の大多数にとって外国など「行ってみたいけど一人では心細い」ので行かないし、行けない遠い場所だったのです。私が思い立ったのはペルーにK君がいたからに尽きます。知人も誰もいない場所なら、留学とか遺跡研究とかの目的があったとしても、心細くて、まず行かないでしょう。コロンビアはメデジン・カルテルというマフィア組織が、アメリカのゴッドファーザー時代のように、国を牛耳っていて、やたらめったらピストルをぶっ放す危険極まりない国だし、ボリビアは1967にチェ・ゲバラがゲリラ活動中に逮捕され銃殺されたばかり、チリでは五木寛之著『戒厳令の夜』の諸場面が、1977年から4年前の1973年に繰り広げられてアジェンデ大統領が暗殺された直後のまだ戒厳令が発せられた状態、命の危険は、絶対にないわけではない激動の南米に、「コロンビアにさえ行かなければだいじょうぶだろう」と、のんきに旅立ったのでありました。
 

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