現在の『和平飯店』は昔は『サッスーン・ハウス』という名前でした。
「偽りの正面(フォールス・フロント)〜みせかけの上海」と呼ばれた外灘(バンド)のスカイクレイパー(摩天楼)であり、イヴ・サッスーンが建設しました。
サッスーン一族はバクダッドに始まるユダヤ系イギリス商人の家系で、後にボンベイを経て、阿片や綿布の貿易で得た巨大な資本を基に19世紀後半上海に乗り込みバンドに敷地を購入し(後、ここにサッスーン・ハウスが建つ)そこを本拠地として次々と上海での不動産投資を展開していきました。
そしてその後継者でありサッスーン一族の最盛期を形成した Elias
Victor Sassoon(1881-1961、頭文字からイヴと呼ばれた)が、造った本社ビルがこのサッスーン・ハウス(1929年竣工、パーマー&ターナー事務所設計)で、一階から三階は銀行、商店、四階は自社および関連企業の事務所、五階から十階まではキャセイ・ホテル、レストランなどになっていたそうです。
その後、貿易、運輸、各種軽工業などにも事業展開していったイヴの
最盛期の資産は上海全体の二十分の一もあったと言われています。
また、この他にサッスーン財閥は、メトロポール・ホテル(現・新城飯店)、グローヴナー・ハウス(現・錦江飯店中楼)、キャセイ・マンション(現・錦江飯店北楼)などを建築し、資産だけでなく、上海の景観をも所有していたそうです。
日中戦争時は日本憲兵隊が接収し、蒋介石や杜月笙らと、しのぎをけずった本拠地とのことです。
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